第18章 怒りの銃口と刃の時間
『け、けぇッ……ゲホゲホ…』
最悪だ…あいつまでもがそんなこと言うなんて…
『…お菓子…折角頂いたのに全部吐いちゃったなぁ…』
「あんた大丈夫…じゃなさそうね」
トイレの入口に腕組みしたイリーナ先生がいた
『イリーナ先生…』
「あんたにも分かるように、私にも分かるのよ。抱えた奴の雰囲気ってのが…」
『…はは、いつもの発作ですよ』
「………訳わかんないわ、人の心配はする癖になんでそんなに自分には疎いの」
『…!』
「私はただ、あんたも同じ人生を送って欲しくないだけ」
それだけよ。と言うと金髪をなびかせて戻って行った
その言葉…前に私が渚さんに言った言葉…
私がそうなのは…きっともう既に絶望してるから…
『自分で言った言葉で論破されるなんて…はは…これじゃあ渚さんに顔向けできないや…』
戻るとまだ奴は教室にいた。
「おーどこ行ってたんだ?トイレか?」
『まあ、そんなもんです。すみません、せっかく頂いたのに全部出してしまいました』
「はっはっは、大の方だったか!」
「女子にその話すんのかよ…」
戻って来た私を渚さんが心配そうに見つめていた。私は構わず席に戻る
「明日から体育の授業は鷹岡先生が?」
「ああ!
烏間の負担を減らすための分業さ、あいつには事務作業に専念してもらう、なっ!!
大丈夫! さっきも言ったが俺達は家族だ!! 父親の俺を全部信じて任せてくれ!!」
『(最悪だ…)』
これが地獄の始まりだなんて知らず、私は呆れて呑気に頭を抱えた
放課後、私は校庭でサッカーをするみんなを遠目で見ていた
「どう思う?」
「えー、私は烏間先生の方がいいなー」
「でもよ、実際のとこ烏間先生何考えてるかわかんないとこあるよな。
いつも厳しい顔してるし、メシとか軽い遊びも…誘えばたまに付き合ってくれる程度で。その点あの鷹岡先生って根っからフレンドリーじゃん。案外ずっと楽しい訓練かもよ」
激しく派閥闘争する話でもないが、みんなの考えもぼんやりしていた。
『私はできれば二度と会いたくない』