第18章 怒りの銃口と刃の時間
「モノで釣ってるなんて思わないでくれよ。おまえらと早く仲良くなりたいんだ」
エクレアらしきものを取り出し、毒見のように食べだす
「それには…皆で囲んでメシ食うのが一番だろ!」
『…(誰がそんなもの信じるんですか。まるっきり浮気相手じゃない)』
「遊夢ちゃん?」
『え?』
「大丈夫?険しそうな顔してたから…お腹痛いの?」
『え、あ、あはは…』
渚さんに心配されて現実に戻される
自分が嫌になる。私は分かってしまう。負の感情を抱えた人が、それを見た相手が利用しようとする時、どんな手を使うのか…
自分がそういうのに近い立場だから分かってしまう…
イリーナ先生だって、堀部さんだって…
それを見て同情してしまうのは悪い癖だ。私は、彼らの事を、生い立ちを何もわかってない癖に
「でも…えーと鷹岡先生。よくこんな甘い物ブランド知ってますね」
「ま、ぶっちゃけラブなんだ砂糖がよ」
「でかい図体してかわいいな」
私の暗い気持ちなんてお構いなしに時と会話は流れていく
「っ……」
「お〜殺せんせーも食え食え!! まぁいずれ殺すけどな。はっはっは」
甘党の先生も釣られている
「ほら、早稲田さんも一緒に食べよー!」
茅野さん、みんなの和んだ空気、笑顔、私だけ………
汚れてる…
『自分が嫌になる…』
「え?」
『いえ、何でもありません』
「同僚なのに烏間先生とずいぶん違うスね」
「なんか近所の父ちゃんみたいですよ」
「ははは、いいじゃねーか父ちゃんで
同じ教室にいるからには…俺達家族みたいなもんだろ?」
『…うっ……けぇ…』
「早稲田さん?」
ダッ
「遊夢ちゃん!!」
「何があったんだろ…」
「凄い真っ青だったけど…ちょっと心配だね」
「……」