第18章 怒りの銃口と刃の時間
「それまで! 今日の体育は終了!!」
「いやー、しかし当たらん!」
「スキ無さすぎだぜ烏間先生!」
『けど幾人か当てられる人がいるだけ凄いです。相手、現役防衛省の方ですよ?』
「そういやそうだなー」
「烏丸”先生”ってイメージが根強いから元々強い人だってこと忘れちゃうよね」
「せんせー! 放課後街で皆でお茶してこーよ!!」
倉橋さんが先生に話しかけるが
「…ああ、誘いは嬉しいが、この後は防衛省からの連絡待ちでな」
あっさり断って校舎に戻る
「……私生活でもスキがねーな」
「…っていうより…私達との間にカベっていうか、一定の距離を保ってるような」
『きっと他の人でも同じ反応してますよ。ああいう仕事バカみたいな人、割といるんです』
「分かるけどさ。厳しいけど優しくて、私達のこと大切にしてくれてるけど。でもそれってやっぱり…ただ任務だからに過ぎないのかな」
「そんな事ありません。確かにあの人は…先生の暗殺のために送りこまれた工作員ですが。
彼にもちゃんと素晴らしい教師の血が流れていますよ」
といつの間にみんなの後ろにいた先生。確かに、私達素人こども相手にここまで特訓してくれるんだ。とりあえず働き過ぎて倒れないか心配しよう
「…? 誰だあの人?」
「でけぇ〜…」
声の方を向くと、荷物を沢山持った大柄な男が現れた。180はありそう
「やっ! 俺の名前は鷹岡明!! 今日から烏間を補佐してここで働く! よろしくな、E組の皆!」
そう名乗る男は机にドサリと荷物を置いた。中にはケーキやジュースやら
「…な、なんだ。ケーキと飲みモンだ」
「!! これ『ラ・ヘルメス』のエクレアじゃん!!」
「こっちは『モンチチ』のロールケーキ!!」
「いいんですか、こんな高いの?」
「おう、食え食え! 俺の財布を食うつもりで遠慮なくな!!」
そう言って近くの椅子に座る
『……』
私は白々しく彼を見る
「どうしたん?ひつじちゃん」
『ああいう挨拶がてらに物を渡してくる人って大体機嫌取りなんですよ。浮気相手が相手の子供によくとる戦法、しかも全員分。
「つまらないものですが」って渡すには箱のお土産で十分です』
「ははは、ドラマの見過ぎじゃない?
まあ貰えるものは貰った方が得じゃん」
『確かに、それが資本主義思考ですからね』