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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第17章 ボールは友達?の時間


「気にせず打てよスーパースター。ピッチャーの球はジャマしないから」

「フフ、くだらないハッタリだ。
構わず振りなさい進藤君。骨を砕いても打撃妨害を取られるのはE組の方だ」

異様な空気の中、ようやく理事長が通る声で喋った。












『はは、構わず…ねぇ。それは無理かな。あの子たちは私達や貴方のように


”殺す”鍛え方はしていないんだもの…』











分かる…ここが勝負時だ



進藤さんに激動が走る。動揺、恐怖、戸惑い…

バットを振るも、鍛えられている私達にとっては苦行ではない。赤羽さんと磯貝さんは難なく躱す

特にあの二人はクラスの中でも動体視力が良い。私達が不安になる要因はここにはない

「……だめだよ、そんな遅いスイングじゃ。次はさ、殺すつもりで振ってごらん」

これではもはや野球ではなくなってしまった。作った人が見たら泣くだろうなぁと困ったように笑いながら私はみんなを見守った





杉野さんが投げたボールにようやくバットが当たる。ボールは高く上がる。だがスピードはない。赤羽さんがあっさりキャッチし、キャッチャーの渚さんへ

「サードランナーアウト!!」

「渚、そのボール三塁へ!!」

E組の戦略に唖然として動けずにいた野球部がようやく動き出す

「セカンドランナーアウト!!」

「木村、次は一塁へ!! 進藤走ってないから焦んなくていいぞ!!」
進藤さんは腰が抜けたのかそのままベースに座り込んでいた

「バッターランナーアウト……ト、トリプルプレー…」
審判の先生は、目の前の光景が信じられてないようだ



「ゲ…ゲームセット…!! …なんとなんと…E組が野球部に勝ってしまった!!」














勝った……





E組が……本校舎の生徒に………

















「『やったああああああ!!!』」

「男子すげえ!!」





「あ…」

『し、失礼…///』


私は嬉しさの余り我を忘れ、近くにいた茅野さんと抱き合って柄もない喜び方をしてしまった

「ふふふ、そっちの方がいいよ早稲田さん!」





『あ…ありがとうございます…』

また一つ…私は彼らに救われてしまった
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