第1章 【Naughty Girl】
“もう、終わりにしよう。”
今まで何度思っただろう。
週末が終わるたびに送信できるはずもないクセに
オレの決意を文字にしたLINE画面とにらめっこ。
あぁ、今週も不毛なにらめっこ5日め…苦笑
“紫耀、明日逢えない?”
やっべ、既読つけちゃったじゃん。
返信しなきゃじゃん!!
オレの決意は呆気なくBack spaceに食べられて
空メールとなる。
“逢えるよ。”
嗚呼、さよなら
オレのペラペラの決意。
オレさ、ホントに自慢じゃないんだけど
振られたこともなければ、
駆け引きなんてしたこともなくて。
そんなもの必要なかったんだ。
キミに逢うまでは…。
だから、正直
どうしたらいいのかわっかんねぇんだわ…。
ただ確かなことは
もう後戻りできそうにないってこと…。
何度もカラダは重ねてるのに
キミを手に入れた実感がまるでない。
キミはオレのカラダをすり抜けて
またオレの知らないソイツのために
平日を過ごすんだろ?
こんな関係、バカげてる…。
「ワッ!」
「……ッ!!」
「ドッキリ成功ー!笑」
「マジ、ビビらせんなって!w」
「毎週同じことされてるのに、
毎回ビビってくれるの、紫耀だけだよ笑」
そうやってケラケラと屈託なく笑うキミ。
やめろよ。
誰と比べてんだよ…
「あ~笑った笑った!wやっぱ、紫耀好き笑」
「…さいですか。」
だけど、キミの好きとオレの好きは
意味が違うでしょ?
やめろよ。
その言葉を軽々しく口にすんの。
「あれ?紫耀、髪切った?」
「あぁ…、うん。うざったかったから。」
「…ふぅーん?どっちもカッコイイね!」
そんなふうに…
オレの好きな笑顔で見つめてくんな。
「はいはい、知ってます笑」
「生意気ーー!笑」
「っていうか…、
莉菜こそ髪切った?」
「正解! ちょっとだけ軽くしてもらったの。
でも、よく気付いたね? 友だち合格!!笑」
……友だち、ね。
いつもは聞き流してあげるけど、
今日のオレはあいにく機嫌が悪いんだ…。
キミの腕を引き寄せて
人目も気にせず突然、唇を重ねた。
何するの?
そう言いかけて口を開いた彼女の口内に
舌を捻じ込み、言葉を奪う―――…。