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キミヲ、サライタイ。

第1章 1


今夜は久しぶりに、ふたりで海の上でゆっくりすることになった。

お嬢様は今日の予定を済ませ、夕方には直接マリーナまで来る約束になっていた。

川島は、夜釣りを楽しむために朝からクルーザーのメンテナンスと、掃除に準備にと精を出していた。

特にベッドメイキングを念入りにしておく。

真新しいシーツや飾り物を調えたりしながら、腕枕をどっちの腕でするかなど色々イメージトレーニングする。

自然に頬がゆるむ。

ベッドの真上はガラス張りになっている。今日は雲ひとつない晴天で新月ということもあり、今夜は星が綺麗に見えそうだ。

お嬢様とふたりで星を数えたい。

川島は、そのために天窓をピカピカに磨いた。

簡単なサンドイッチを作り、コーヒーを淹れ一息ついたところで、午後からは釣った魚と合わせるための食材やワインなどを調達しに行く。

車で海沿いを走るときだけ、コンバーチブルの屋根をオープンにした。

潮風が心地よい。

本当ならお嬢様とふたりで買い出しなどしたかったが、彼女にも予定があるのだから仕方ない。

クルーザーに戻り一通りの片付けを終え、ソファで休憩していたら眠気に襲われた。

そのまま川島は、
うとうととソファに身を沈め意識を失った。


目覚めると窓からは西日が差し込み、海面も光が乱反射しオレンジ色に輝く海へと様相を呈していた。

少しばかりうたた寝している間に、すっかり日が暮れてしまった。

時間を確認しようと慌てたところに、お嬢様が川島の名を呼びながら室内へ入ってきた。

瞬間、胸が高鳴る。

「なんだ、ソファで寝てたんだね。もうすぐ着くって連絡入れたのに反応ないから」

「お嬢様、申し訳ございません。お迎えにもあがらずに──」

川島はあわてて姿勢を正した。

「大丈夫。もともと直接ここに来る約束だったんだから。朝から準備してくれてたんでしょ?少し疲れたんじゃない?」

「お嬢様との時間の準備のために疲れることなどないのですが……。少し休んでいたら微睡まどろんでしまったようです」

申し訳なさそうに目をしばたたかせる川島の頭を、お嬢様は髪を梳きながら愛おしそうに撫でた。

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