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山鳥と雛鳥

第9章 大きく羽ばたくまで


年末

本丸のある地域では珍しく雪が降っていた。

「寒い寒い寒い!さーむーい!」

文字の読み書きがすっかりできるようになった雛鳥はフリガナが入っている読み物を読んでいた。
そんな雛鳥がなぜ、そう叫んだかと言うと…

「はいはい、ちょっと待っててねぇ〜。
まだ、障子の張替えが終わってないんだから。」

加州が丁寧に障子の張り替えをしていたからだ。

「大掃除は終わったのに、ここだけ終わらないとかやれやれ。」

なぜかと言うと雛鳥のここはまだやらないで欲しいという先回しの結果だった。

「あーもう、加州の意地悪!」

「はいはい。」

加州は雛鳥の文句も気にせず事を進める。
そんな様子を見ながら、子猫と雪かきをしていた。

「あれぇ?娘ちゃん?久しぶりだね。
…お頭もいたんだ。南くんもいるじゃん。」

どこからやってきたのか、姫鶴がふらりと現れた。

「姫鶴!久しぶり!」

「あぁ、久しいな。息災か?」

「まぁね。変わりはないよ。」

読んでいた本を閉じて雛鳥は姫鶴に駆け寄った。

「ねぇ、今日は遊べるの?」

「ん?そうだねぇ。分からないかな。」

「えー。またなの?
あ、じゃあ!あとで肩車して!」

「いいよ」

チラッと姫はこちらを見てからどこかへ行ってしまった。
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