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山鳥と雛鳥

第8章 それが初恋というのか


遠征から戻ってくると、おやつにキラキラした何かを皆が食べているのを見かけた。
報告書を渡しに小鳥のいる所へ向かう。

「おや?琥珀糖ではないか?」

「山鳥毛も知ってたのか。京都の有名な菓子屋があってな、そこで買ってきたんだ。
いやぁ、本当によく出来ているよな。
ただ、ちょっと甘いな…。」

小鳥が苦笑いをした。
あまり甘いものが得意では無いのだろう。

「私も1つ頂戴しても?」

「おう、いいぜ?ほら。」

上等な缶の中から1つ琥珀糖を摘み、口に放り込んだ。
周りの糖がシャリシャリと音を立てる。
なかの寒天はほんのりとぶどうの味がした。

「パパ〜買ってきたよ〜!」

雛鳥の元気な声が響き、私は振り返った。
振り返った先には一期と雛鳥が、仲良く買い物袋を持っていた。

「主、ただいま戻りました。
ありましたよ。寒天と砂糖。」

「まぁ、そりゃあるよな。」

小鳥は一期から釣り銭を受け取った。

「ねー!早く作ろう!」

雛鳥がぴょんぴょんと跳ねる。

「作るって何を作るんだい?」

私の質問に小鳥が答えた。

「山鳥毛、お前が今しがた食ったそれ。」

「琥珀糖を?」

「あぁ、作り方は簡単らしくてな。
水と砂糖と寒天の素があればできるんだと。」

「でも、こはくとうって何日か乾かすために待たないといけないから早く作りたいの!」

雛鳥は早くと周りをはやし立てている。
その様子に周りの鳥たちも焦るなと苦笑いを浮かべた。
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