第7章 動物園に行こう
いいぃぃぃぃやァァァァァァだァァァァ!!
絶叫や悲鳴とも言える声が本丸中に響き渡った。
「娘さんの声だよなあれ…」
その声に若鳥たちがぽかんとする。
ハッキリ嫌だという意思表示と泣く声は初めて聞いた。
こういう時は決まって私か一期の役目だった。
「え…と入りますか?」
一期が心配そうにドアを見ていた。
小鳥の執務室から雛鳥の泣き声がいまだ聞こえる。
私が2回、戸を叩いた。
ずざっと音がして扉が勢いよく開く。
「おぉ、山鳥毛に一期…。
良かった来てくれて。ちょっと厄介なことになっちまったんだ。」
私と一期はキョトンとした顔を見合せた。
雛鳥は一期に任せて、私は小鳥の話を聞いた。
どうやら3日後に行くはずだった動物園が小鳥の都合で連れていくことが難しくなったとのこと。
「あいつ、あんまりわがままを言わなかったろ?
お前らがあいつと関わってくれてるからってのもあるだろうけど、もしかしたら俺や家内の事情をあいつなりに飲み込んでいると思うんだ。
それでだ。いつも我慢させてる分、最近よく興味を示してる動物園とかに連れて行ってやろうと思ってたんだ。
保育園でも動物図鑑を広げてるって聞いてるし。
ハムスター以外にも犬や猫とかカラスは町でも見てたりするが、あいつがよく見たがるのがその…動物園にいる動物なんだ。
象とかキリンとか…。だから…。」
分かりやすく小鳥はため息を漏らした。
先日、雛鳥の気持ちを知った私はそれを言うか迷ったがやめた。
これは私が勝手に口にしていいものでは無い。
「3日後の仕事…どうにかずらせねぇかなぁ…。」
とは言っても小鳥の現世での仕事はずらす訳にはいかないのも私は知っている。
「私が連れて行ってやりたいと言いたいとこだが…
私もその日は遠征最終日だろう?」
「そうなんだよなぁ…今回の遠征先はお前が筆頭になってもらわねぇと困るし。」
小鳥はまた深いため息をした。