第1章 小さな雛鳥
「あー?あう〜」
初めてその声を聞いたのは雛鳥が生まれて2ヶ月の頃だったか。
「山鳥毛!聞いてくれ!!
娘がついに声出し始めたぞ!」
嬉しそうに雛鳥を抱え、小鳥が私の元へやってきた。
「声?声なら前から泣いたりで。」
「ちがうちがう!ちゃんと“声”を出すようになったんだ。 それによく、笑うようになってな!あと人の顔をよく見るようにもなって」
小鳥は嬉しそうに雛鳥を見せてくる。
私は少し困った。
こんな、なりだ。
怖がらせてしまわないか。
そう思って目を逸らそうとした。
「あー!」
雛鳥が大きく鳴いた。
パッと雛鳥を見ると雛鳥は私の顔を見てにっこりと笑っていた。
「ハハハ!山鳥毛も父親だと思っているんじゃねぇか?」
「私を?」
「そりゃそうだろう!他に誰がいるんだ。
ほれ、いつものように抱いてやれよ。」
小鳥はかなり押しが強い。
半ば強引に雛鳥を渡された。
雛鳥は私に抱っこされるのが嬉しいのかにこにこで声を上げる。
「あ〜!あう〜?あー!」
私もその笑みに釣られ口角が少し上がってしまった。
「喜んでるなぁ〜。一生懸命なにか喋ってら。」
小鳥も嬉しそうに笑っていた。