第1章 小さな雛鳥
小鳥の配偶者は少々体が弱く、ある程度の睡眠が必要らしい。
夜中に雛鳥が泣くので数十分に起きては母乳や排泄物の片付けをしている。
そのため、昼間はこうして小鳥と他の男士と共に雛鳥の世話をしていた。
「いち兄はいいなぁ〜お世話させてもらえて。」
粟田口のモノが雛鳥を見に来ては羨ましいと口々に言っている。
さすれば、雑用をしなくて済むと言い出す者も居た。
「私ですか?」
粟田口の一期一振という若鳥を中心に雛鳥の世話を何人かでやることになった。
世話が得意そうな一期一振と私が中心でと小鳥はそう、頼んできた
雛鳥の世話というのは、ミルクを飲ませゲップをさせて寝かせる。
その後排泄していたら、おしめを取り替える。
今はそれくらいしか出来ないらしい。
雛鳥が寝ている時は、特に注意して欲しいとの事だった。
「赤子っつーのは寝てる時や静かな時が1番、気にかけなきゃいけねぇんだ。」
「ほう…?それはなぜかね?」
「なんでも寝ている時に呼吸を忘れてたり、うつ伏せになってると息が出来なくて本人でも気付かぬうちに……。」
小鳥は言葉を濁した。
だが、私には何となく小鳥が言いたいことが分かった。
それほど、儚く脆い存在なのだ。
任務と現世で請け負っている仕事をこなしている時の小鳥は血の気も多く怒鳴ってることも多いが、雛鳥が側にいる時や雛鳥の世話をしている時は優しい顔をしていた。
1ヶ月になると雛鳥もよく動くようになった。
手足をバタバタと動かすので排泄物の片付けが少し難しくなった気もする。
その日は雛鳥が排泄物をしたので取り替えることにした。
「よし、私も慣れてきたものだ…」
と思ったのもつかの間…プシャっと音がして私は濡れた。
「な……はぁ、ハハハやられたな。」
小鳥からこの前、やられたと聞いたばかりだったのだがまさか自分もやられるとは。
仕方あるまい。私はそういう時用に、用意していたタオルで顔とサングラスを拭いた。
「お頭〜?今なんかありました…にゃ!?」
子猫(南泉)が様子を見に来たらしい。
私の姿を見て驚いていた。
「あぁ、大したことは無い。安心してくれ。」
「お頭にひっかけるなんて…」
子猫は顔を青ざめた。
「まだ、赤子だ。」
そう、産まれたばかりの赤子だからな。
目の前の雛鳥はスッキリして気分がいいのか手足をバタバタさせていた。