第6章 雛鳥は分かっている
「すまない!ほんとうに今晩だけ!」
小鳥は私に土下座をするような勢いで私に頭を下げてきた。
なんでも現世での仕事仲間と用事があるらしく、雛鳥を1泊させたいとの事だった。
「私は、構わないが…ここでいいのか?
小鳥の親戚などに預けることも…
番はどうかしたのか?」
小鳥は私の言葉に複雑そうな顔をする。
「家内は検査入院で家にいないんだ。…親戚に預けてもいいんだが連中にあいつが人見知りして、夜眠れなくなることがあるんだよなぁ…。少し前にも試しにお泊まりさせたら夜中に抜け出して公園で泣いてたくらいだし。
ここなら、お前もいるしあいつの顔馴染みが多いだろ?あんまり関わってない男士もいるがお前がいれば大丈夫だと思う。」
「嬉しいんだが…随分、私を買い被っていないか?」
「そんなことは無い。…つうかお前、刺青が赤くなっているぞ?」
「……!?」
はしゃぎたくなる気持ちを抑えて私は雛鳥の面倒を見ることにした。
「お泊まり?」
雛鳥の必要なものは大抵本丸に置いてあるから、雛鳥の荷物は寝巻きと換えの肌着だけ。
「あぁ、今日は母さんも父さんも家にいられないからな。山鳥毛や他のみんなの言うこと聞いて大人しく待っていろよ?」
小鳥は雛鳥の頭を撫でてから現世へと向かった。
「パパ行ってらっしゃい。」
雛鳥はその背中に手を振った。