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山鳥と雛鳥

第5章 新しい翼


振り返ると、雛鳥は角を曲がりいつも私と過ごす部屋とは違う部屋に入っていった。

「うわぁ…お頭、これは怒こりそう…。にゃ…」

「……子猫…雛鳥は何かあったのか?」

私は驚きのあまり雛鳥が去った廊下をぼんやりと見ていた。

「最近、顕現された刀剣は知ってるか…にゃ?」

「いや?」

「お頭がいない間、ずっとその刀剣にベッタリになっちゃって…」

「ほう…。」

「多分見たら、分かる…にゃ。」

私は子猫に部屋の場所を教えてもらいそちらへ向かった。部屋からは乱と珍しく次郎太刀の声、雛鳥の声が聞こえた。
次郎は酒臭いと雛鳥に苦手意識を持たれて以来、あまりこちらの母屋には来なかった。

「かみのけサラサラね〜。梳かしてあげる。」

「ん〜いいよぉ〜。」

雛鳥の楽しそうな声にのんびりした口調が聞こえた。
私はすぐに戸を開けるか迷った。

「ねぇ〜?キミはさぁこれやってて楽しい?」

「うん!楽しいよ!
ママみたいにあたしもかみのけ梳かしてあげるの。」

「そっかぁ〜。」

聞き覚えあるようなないような声だ。

「雛鳥…?いるか?」

「あ!さんちょうもう!ちょっと待ってね!」

「山鳥毛?」

その声は訝しげみたいだった。

「え?うん。さんちょうもうだよ?
パパのきんじとう?って言ういつも一緒にいる人。」

誰かが動いた布の摺れる音がする。
すぐさま障子の引き戸が開いた。

私はその姿に驚き目をぱちぱちとさせた。

「……驚いたな。まさか顕現されてたのがお前だったとは。息災か?我が翼よ。」

「……。聞いてはいたけど、ホントにいたよ。」

チラリと、雛鳥を見ると困惑したように私たちを見つめる。

「さんちょうもう、ひめつると知り合い?」

「あぁ、ちょっとな。」

私は安心して欲しいと微笑んだ。

「お友だち?」

私は言葉に詰まった。


お友だち…と呼んでいいのか?

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