第4章 心も成長する
一口食べてみるが不思議な味だ。
もにゅもにゅした食感にきなこの甘みがある。
素朴な味といえばそうだ。なるほど…これは雛鳥が好きそうだ。
「へぇ~。確かにおいしいね。」
乱藤四郎も不思議そうに見ていた。
私たちの反応も気にせず、雛鳥はもぐもぐと機嫌よく食べていた。
口いっぱいに詰めるので、先ほどの子鼠のようにかわいらしかった。
「さんちょうもうは食べないの?これ好きじゃない?」
私がじっと見ていたことに気付いたのか、雛鳥はきょとんとしていた。
「いや、あまりにもおいしそうに食べるからつい見てしまってな。
私のも少し食べるか?」
雛鳥はぱぁっというように目を輝かせた。
「食べていいの?食べたい!」
私は一つマカロニを箸でつまみ、雛鳥の口まで運んだ。
カパっと口を開けてぱくっと食べた。
もぐもぐしているのが本当の山鳥の雛みたいでかわいらしく思った。
「もう一つ食べるかい?」
雛鳥はごくんと咀嚼が終わったあとまたカパっと口を開けた。
「・・・・・・・・。」
乱がじっと私たちを見ている気がした。
「・・・?どうしたんだい?」
「いや、なんて言うか…?餌付けしているみたいだなぁって」
「餌付け?いや、私はおすそ分けというものを…。」
食べ終わった、雛鳥がまた「あーん。」とねだってきた。
本当にかわいらしい。
「娘ちゃん?僕のも食べる?」
ぱっと雛鳥は乱の方を向いた。
「食べる!」
「うん、いいよ。」
乱は、雛鳥に微笑んでその一つを渡した。