第4章 心も成長する
皆がご飯を終えて片付けをしていると、小さなバタバタ音が響いてきた。
「いちご!ごこた!さんちょうもう!」
元気な声と共に足音がこちらへ近づいてきた。
「あ!こら!足袋履いてるんだから走るなよ!」
小鳥の困った声に私は小鳥たちが帰ってきたと分かった。
「戻られたか小鳥よどうだっ…」
目の前に居た雛鳥に私は声を失った。
赤い着物に結い上げられた髪、化粧を施した顔は愛らしく笑っていた。
「どうしましたか?」
一期一振をはじめ、他の刀剣男士も部屋から顔を出してきた。
「わぁ!娘さん可愛らしい!
とても良く似合ってますよ!」
今剣が雛鳥を褒める、
「おぉ、実に雅だねぇ」
「へぇ〜娘さん似合ってるじゃん。」
歌仙兼定も加州清光も口々に雛鳥を褒めた。
「さんちょうもうは?
ねぇ?似合ってる?」
くるりと回って私の顔を覗き込んだ。
「あぁ、とてもよく似合っているよ。」
私は目頭が熱くなるのを感じた。
数百年前、生まれた子が3歳になれなかった時代もあった。
こうして、当たり前のように大きくなることを見守れたことが嬉しかった。
「山鳥毛?お前…泣いてるのか?」
「気のせいでは?」
小鳥に言われたが私は少しズレたサングラスを直し素知らぬ顔をした。
なぜか急に色々なことを思い出す。
這いずって動き回れるようになると私や若鳥たちの後追い、置いていかれると怒って声を出したこと
立ち上がったところを初めて見られた時の驚き。
拙い足取りで私の元に1歩ずつ歩いてきたこと。
まるで私も親鳥みたいではないかと思ったが、愛おしい我が子の成長が嬉しくて仕方なかった。
「嬉しいですね。こうやって元気に育ってくださるのを見守れるなんて。」
一期一振が私の隣で雛鳥に微笑んだ。
私は目の前が少しぼやけていた。