第13章 新しい生活
目を覚ますとスマホで時計を確認する。
朝とも昼とも呼びがたい11時半すぎ。
こんなに寝てたっけ?昨日何してた?
1日中、寝ていたような気もしている。
「いつから寝てたっけ…。」
ふわぁっとあくびをしてリビングへと向かった。
リビングにはお父さんがくつろいでいる。
珍しい。
「おはよ…。」
お父さんは私に気づくと「おう」と声を上げた。
もうすぐパパと離れる。
寂しいような気がして目を合わせられない。
「ねぇ、お父さん。」
「ん?どうした?」
「私がいなくなると寂しくない?
お母さんもいなくなっちゃって。
私も結婚するし」
私がからかうとお父さんはブフっとコーヒーを噎せた。
「誰と!?」
「え、うーん…高校で出会う彼氏?」
「彼氏出来るのか?お前に?」
「お母さんを選んだ人が目の前にいるんだから大丈夫だよ。
それに私、お母さんに似て美人だし?」
「冗談はよせよ…心臓に悪い。
それに1つ訂正させろ。俺は母さんを選んだんじゃない。
俺が母さんに選んでもらえたんだ。」
お父さんの意外な言葉に私はキョトンとした。
「お父さん、ほんとにお母さんのこと好きだったんだね。」
「当たり前だバカ。」
「バカはお父さん似です〜。」
「あー言えばこういうなぁ…」
「それも似たんじゃない?」
「あぁ、だろうな。」
お父さんは笑ったあと、じっと私を見てきた。
「どうしたの?」
「いや、お前も大きくなったなぁって。」
「まぁね。お父さん。お世話になりました。」
「まだ早いよ。」
お父さんはどこか切なく笑った。