第12章 君を想うがため
私は小鳥に言われた通りの場所に行き、しばらく待っていた。
すると雛鳥がやって来て私の隣に座る。
困ったように笑うその顔が愛くるしいとさえ思った。
雛鳥が寒そうにするので身を寄せ合い、私のコートの中に入れる。
雛鳥の体温は高くその温もりすら、やはり愛おしいと感じた。
このまま……
このまま、連れ去って何処か私しか分からない場所に閉じ込められたら…
どんなに願っても小鳥は裏切りたくない。
そんなことをしたら、小鳥だけでなく雛鳥を裏切ることにもなる。
あぁ、この時が永遠だったらいいのだが…。
私はしばらくそんなことを思いながら夜道を眺める。
少し、してから私は意を決した。
「雛鳥…」
「なに?」
「いつかの君は私の瞳は綺麗な赤だと言っていたな。」
「あー懐かしいね。
うん。山鳥毛の瞳は綺麗で好きだよ。昔から。」
「ではまた君に見てもらいたいと、思っているんだが…。
また私は君を見ていたい。私を見てくれるかい?」
「山鳥毛…?どうしたの急に…」
サングラスをズラし、私は戸惑う雛鳥の瞳を見つめる。
あぁ…すまない、雛鳥よ。
神気を充てることを…
「え…さん…ちょ…。」
雛鳥はカクンと気を失った。
雛鳥…君の息災を祈ってる。
例え、君が私を覚えていなくとも…