第20章 本音
深く、湿ったキスへと変わっていくと唇がそっと離れて
なんだか御預けを食らった様な気分になる。
『ん?』
「僕はこれでもみなみさん達を引き裂きたい訳では無いんだ」
『零?』
「みなみさんが本当に思っている人間は僕では無いだろう?」
突然の言葉に、また返す言葉を失ってしまった。
そんな事無いのに、だけど肯定しても否定してもどの道最低なのは変わりない。
「みなみさんの幸せが僕にとっての幸せでもあるんだ」
『零...』
「みなみさんが赤井と居られなくなったら、まあ...僕は嬉しいけどみなみさんは辛いだろう?」
なんて事を少し冗談交じりに笑いを入れながら話される
零とは対称的に恐らく今の自分の顔は...言うまでもない
『そ、うだけど...』
「そんな悲しい顔をしないで、僕は“終わり”なんて言ったか?」
『言ってない...けど...』
「僕がみなみさんと居たらまた危険な目に合わせてしまうかもしれない。それに今の僕では十分にみなみさんと会う事も難しい、それはみなみさんも同じだろう?」
『うん...』
「この国で何かが起きたら勿論、真っ先にみなみさんを助ける。FBIなんかでは務まらないからな」
また冗談交じりそんな事を可笑しく言う零を見ると心がギュッと絞られる感覚で。
「それに。もう会えないなんて一言も言ってないだろう?」
『ほんと?』
「本当さ。みなみさんが辛くなれば僕の元へ来れば良い、僕だってみなみさんとは毎日会いたいぐらいだよ」
つまり、それって...
ダメだ、分からない
『居なくならない?』
「当たり前さ、みなみさんが会いたければ僕は駆け付けるよ
まあ...潜入が無い日ならね」
『ありがとう』