第20章 本音
深夜だしお互い疲れているという事で、かなり遅い夕飯を出前で済ませた。
『ご馳走様でした!』
「本当にこれで足りたのか?これでは…」
『大丈夫ですよ、これから徐々に足していきますから!』
数日間まともなものを口にしていなかった事を赤井さんは気にして
出前をとる時あれもこれも選ぼうとしていたし、そして今もだし…
赤井さんこそ絶対ちゃんと食べて(時間が)なかったと思うし、昔はあの缶コーヒーしか飲まなかった様な人が栄養を考えるなんてと思うと
そこも凄く愛おしくて、また少し可笑しくもある
「…そうか。なら風呂に入るぞ」
『はい!』
赤井さんとのお風呂も凄く久々で…
サッサと脱いで先に入っていく所も相変わらずで、そんな赤井さんを追いかける
あの時の大きなアザは今も変わらず残っていて、ずっと服で隠れていて赤井さんには見えていなかったけど…
もしこれを見られたらまた赤井さんが心配してしまうのでは?と。
「みなみ、どうかしたか」
『あ!いえ!今行きます』
浴槽に足を伸ばして湯船に浸かる赤井さんの上にちょこんと背を向けて座る
前をあまり見せない様に…
「みなみ」
『はい』
「すまん、もし怖いなら俺は先に出るが」
『えっ?!いえ!全然そんなんじゃないです!』
「そうか?やけによそよそしいぞ」
『あ、いや、それは…』
後ろから赤井さんの左腕が回ってくると、そこが丁度アザの出来ている場所で。
『いっ…た』
気付いた赤井さんにクルリと簡単に後ろを向かされる
「このアザ…」
『赤井さんに心配させたくなくて…』
「何を言っている、心配するのは当たり前だろう」
『ごめんなさい…』
「俺こそすまん、痛かったな」
優しく抱きしめられると、あの時感じた恐怖がほんの少しづつでも和らいでいく感じがして。