第14章 日常
目覚めると隣に赤井さんが居ない。
外はもうすっかり夜になっていて、照明を明るくして周りを見渡すと
脱ぎ捨てられてた洋服達は無くなっていて、代わりにガウンが置かれている
寝起きの回らない頭で唯一分かるのはこのガウンを着る事と赤井さんが居ない事。
別の部屋で仕事か、リビングに居るのだろうけど薄暗い照明の中で目を覚ますと一瞬不安に陥った。
直ぐにガウンを着て、部屋を出る。
ドアの隙間から光が漏れていなかった為、そのまま階段を降りると少し甘めな良い香りが漂ってきた。
『赤井さん?』
「みなみ、起きたか」
リビングに入るとスウェットの上にエプロンをしてキッチンに立つ赤井さんの姿が。
赤井さんの姿を見ると安心して、直ぐに駆け寄る。
「ん、どうした。突然だな」
そういうけど声色はどこか嬉しそうで。
『赤井さんが居なくて不安だった…』
「それは昼間の俺もそうだったな」
『あの説はごめんなさい…』
火にかけたままの良い香りが漂う煮込み途中な鍋の前でも抱きつけば直ぐに腕の中に包まれる。
この美味しそうな匂いは肉じゃがだ…!
また赤井さんに料理をさせてしまったという気持ちと共に、赤井さんが居る安心感にも包まれて。
「気にするな、にしてもよく眠っていたな」
『ですよね…今何時ぐらいですか?』
「丁度19時だ。もう少しでこいつも出来上がるぞ」
そう言って鍋の蓋を開けて、グツグツとしている肉じゃがを見せてくれる赤井さんは何と言うか、とても可愛い…
『わ〜!美味しそう!!』
赤井さんがそもそもエプロンをして料理をする姿が新鮮すぎて。
普段は沖矢さんの状態だったから、こんな何気ない場面も凄く幸せだ
「そろそろ出来上がる筈だぞ」
『またまた料理して頂いて…ごめんなさい、ありがとうございます!』
「お互いにやれる事をやればいいと話しただろう?俺はそれをしたまでだ」
『そう、でしたね!ありがとうございます!お皿出しますね』
火を止める音と共に皿を並べて、盛り付けたお皿をテーブルに運び椅子に座る。