• テキストサイズ

【短編集】海を見に行こう

第6章 -平和世界if- 幸福のあしおと



そう思うといても立っても居られなくなって、食後すぐに洗濯物を取り込みに行ったモブリットのいる庭へ出る。サンダルを履いた足でゆっくりゆっくり近づいて行く。たどり着く頃にはモブリットの作業が終わっていた。

「どうした?」
「ううん。なんでもないの。…何にもないからいいの」
「!」

目を丸くしている彼の側へよると、肩をそっと引き寄せられ、後ろ向きにハグをされる。
脇の下から通された無骨で大きな両手が、私のお腹に触れる。我が子の鼓動を腕に感じて、モブリットはどんなことを考えているんだろう。

「…ハンジさんの気持ちが今になってよくわかるんだ」
「どんな…?」
「雑務を放ってでも、自分のやりたいことをやること」

こんなふうに。
ちゅ、と見上げていた唇にキスが降ってくる。

「愛してる。ジェス」
「…私も。愛してるわ、モブリット」

どちらともなく、唇を重ねる。

「おっとと、また蹴ったわ。やんちゃだから、男の子かしら」
「いや?案外サシャみたいな女の子かもな」
「……どっちにしても、幸せね」
「ああ…」

とんとん、あなたの小さなあしおとがまた痛みとして伝わってくる。
腰を摩ってくれるモブリットの温かい手。無事に産まれたら、あなたもこの手で抱き上げてもらえるわ。

どうか元気に生まれてきますように…。

煌々と輝く一等星に、私たちは肩を寄せあって我が子の幸せを祈るのだった。
/ 158ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp