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【短編集】海を見に行こう

第13章 モブリットさんを匿う話


「そろそろ俺も行くよ。それじゃ、ありがとうな」
「うん。気を付けて」

最後に触れるだけのキスをして、モブリットは行ってしまった。

脇目も振らずに去っていく2人の後ろ姿を見送る。
手を振ることも声をかけることも出来ない。そんな状況がもどかしい。

彼らが見えなくなったらいつも通りの朝に戻らなくてはいけない。
誰にも悟られないように。彼らに危険が及ばないように。

不安になる心を、昨夜の幸せの余韻で打ち消してから、紅茶を入れ、朝刊を取りにポストへ向かう。

「あらおはようジェス」
「おはようございます、アベマリアさん」
「……うふふ、昨日はいい事があったのね」
「へっ」

アベマリアさんは自分の首をトントンと指さした。
家の窓ガラスでそこを確認すると、赤く腫れたキスマークが残っていた。カッと顔が熱くなる。
キスマークをつけられたことに対する恥ずかしさではない。それを人に見られた恥ずかしさに。

「大丈夫よ。私も若い頃は旦那意外とやんちゃしてたんだから。一夜くらいバチは当たらないわよ」
「ち、ちが……そ、違わないんですけど、その」

モブリットが関わると、いつも通りは難しい。
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