第10章 ▲ラットの堕地獄
・・・階段を下りる足音が3つ。
4つでないことを不思議に思うけど、ゆっくりと瞼を開けて現実を見る。
懐かしい…。最後に見たのはたしか、貴方たちが戦士になりたてのころだったね。
「ジェスさん…」
優しいアニが涙を流す。
本当は誰より強いベルトルトは唇を噛みしめて、努力家のライナーはキッと私を見据えていた。
一時は敵に情報を流そうとした、こんな弱い私を心配してくれてありがとう。見つけて来てくれて…本当にありがとう。
「私は、戦士になりきれなかった…。どうか、この先の貴方たちの未来が幸せなことを願っているわ…。3人で私を殺しなさい」
辛い役目だ。一人に背負わせればその子はきっと苦しみ続ける。せめて痛みを分けられるようにと思った。
体中を切り裂かれ、意識が薄れていく。
体が再生することはもうない。
最期に脳裏を過ぎったのは、初めて笑ってくれた時のモブリットの顔だった。