第7章 担当医の名前
望月
「あっ…それとこれを…。」
ゴソゴソと引き出しを探り出したそれ。
朔哉
「何だこれ?」
手渡されたそれには“星咲朔哉”という名前が書いてあり、
裏には“この患者の緊急時、米花総合病院の望月まで搬送して下さい”というカードがクリアカードの中に入っていた。
望月
「これを肌身離さず持っていて下さい。何かあった時に朔哉君の助けになる。これはいわゆるお守りだ。」
朔哉
「………。」
俺は暫くそれを眺めていた。
けど、それを見ると無償に腹が立つ…。
こんな紙切れが俺にとって大事なお守りだと…?
そんなの…
朔哉
「いらねぇ…。」
望月
「どうして?」
朔哉
「うるせぇっ!!そんな紙切れいらねぇって言ってるだろっ!!」
望月
「朔哉君…。」
朔哉
「……帰る。」
新一
「!おい!朔哉っ!」
バタン!
望月
「ちょっとでしゃばり過ぎましたかね…?」
新一
「このカードは朔哉の背中の傷を他の医者に見せない為…。」
床に落ちたカードを拾い望月に手渡す新一。
望月
「そうです。が、やはりやりすぎ…ですかね?」
新一
「先生がそんなでどうするんだよ。朔哉だって馬鹿じゃないからちゃんと理由を話せば受け取ってくれるとは…思いますが。」
(暫くは…無理だろうな。)
望月
「しかし、あの豹変ぶりは普通じゃないかと…。」
新一
「あぁ…。まだあいつの中では癒えてないって事だ。」
望月
「癒えてない?」
新一
「あいつは…朔哉は…過去に友達を病気で亡くしたんだ。」