第14章 山荘にて
「ウチの家に皆を連れていくよ!
――――いち子、スマホ貸して!」
「あ、あぁ、それがいい!ここより安全だ。
電話なら僕のを使いなさい。」
蕗田先生が差し出したガラケーのボタンをなぎさは指が覚えている番号を押す。
「ウチ、なぎさだけど………」
一言二言で話はついた様で―――――
「すぐに迎えの車が来るよ!」
「まあまあ………よく分からないけどとりあえず何かお腹に入れて行きなさい!」
美穂先生に促されて、私たちは朝食に用意されていた焼き立てのパンをオレンジジュースで流し込んだ。
プァ――――――
程なくしてクラクションが聞こえた。
なぎさは閉めきっていた窓のカーテンをシャッと開けた。
林道には2台の大型の高級車が停まっていた。
中から黒いスーツにサングラス姿の屈強そうな人が数人降りてきて、林道にいた双眼鏡を持った人たちを蹴散らした。
「じゃ、行くよ。皆心配いらないからね、蕗田先生、美穂先生本当にありがとう!連絡するからね!」
なぎさが先導して山荘を出て林道に下りた。
サングラスの人たちが私たちを庇うようにしてくれて皆、無事車に乗り込んだ。
―――――私たちがいなくなって、しんと鎮まりかえった山荘。
「あなた、大丈夫なの?本当に‥‥‥」
「心配いらないよ、美穂‥‥‥‥
実は昨夜なぎさ君が起きてきてな‥‥‥」