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某国立新高等学校

第14章 山荘にて





スヤスヤと気持ち良さそうに寝息を立てる果音の手をそっと離してなぎさは起き上がった。

同じ様にぐっすり眠っているいち子に毛布を掛け直すと、音を立てない様に部屋を出た。



階下(した)のリビングの戸の隙間からはまだ灯りが漏れていた。

「………じいちゃん、蕗田先生?」

「なぎさくんか、どうした?眠れないかい?」

パチパチと薪がはぜるマントルピースの前で蕗田先生は一人、寝る前の一杯を飲んでいた。

「どれ、甘いホットミルクでもこしらえようかね?」

立ち上がろうとした蕗田先生をなぎさは右手で、制した。

「………先生、ウチの話聞いてくれる?

みんなに言ってないコト………」











「…………そうか……」

ひと通りなぎさの話を聞き終えると、蕗田先生はすっかり冷めきったグリューワインを飲み干した。

「辛かったね………なぎさくん。」

なぎさは首をブンブンと横に振った。

「ウチは何でもない!

それよりウチのせいで……果音たちを酷い目に……」


蕗田先生は手にしていたマグカップをコトリと置いた。

「………なぎさくんもなぎさくんのお母さんも悪くない。悪くないんだ……‥‥だから自分を責めちゃいけないよ?分かったね。」



「‥‥‥‥分かった。先生。聞いてくれてありがとう。」

なぎさはいつの間にか流れていた涙を手の甲で拭った。


「あは!人前で泣いたの初めてだ!」








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