第3章 第一学年一学期
こうしてすっかり仲良しになった私たちはその週末。一緒にS谷に遊びに出た。
「週末は自由に外出できるのうれしいね。」
「いくら飯代と美容代タダでもたまに外に出ないと息詰まるよねー。」
「外出は制服着用て言われてるけど、こんなカワイイ制服だからいいよね。」
「果音、やっぱ髪型変えたらよりカワイイわ〜!制服に似合うし。ウチら目立ってね?」
「なぎさ!スカート丈また短くしたでしょ!そのうちパ○ツ見えちゃうよ!」
「いいじゃーん、校則ナシなんだからさ。」
スラリと長い足のなぎさにはミニスカートがとても良く似合っていた。
「だけど毎月お小遣い一万円だけじゃすぐなくなっちゃうよ。バイトは出来ないし。」
「………果音、ホントになんも聞いてないんだね。お小遣い増やしたいなら『ヨイナポイント』を貯めればいいじゃん。」
「『ヨイナポイント』?」
「ウチらの学校のハッシュタグつけてSNSに投稿して獲得した『ヨイナ』一個10円で買い取ってもらえるの、聞いてなかったね!?」
「へえ〜そうなんだ〜」
「校内の写真どこでもどんどんUPしてくれってさ。生徒と先生の顔出しはNGだけど。
ウチはもう2000ポイントも貯めたから今日は果音に奢っちゃう!パンケーキ、好きだってゆってたよね、食い行こ!」
「マジ?!やったあ♪」
「じゃあ、このフレッシュストロベリースペシャルパンケーキをダブルでクリーム付でふたつ、と……飲み物どうする?」
「私はカプチーノがいいな♪」
「ウチはアイスハーブティーで。」
「ねえ、なぎさ?さっきからあの子たちこっち見てない?」
「うん?ああ、窓際の中学生ぽい女の子たち?」
――――パンケーキを食べ終わった『中学生ぽい子』の一人が私たちに近寄ってきた。
「あのう…………制服めっちゃカワイイですよね、どこの学校ですか?」
「ん?新高等学校だけど?」
「えー?!知らないです!」
「そりゃそうだよ、今年出来たばっかりだもの。」
「そうなんですね!うちら来年受験なんです!受けてみようかな………」
中学生たちが去った後、私たちはハイタッチした。
「やった♪また『ヨイナ』が増えるじゃん!」
「果音も早くSNSやりな!」