第3章 第一学年一学期
「うわあ…………」
なぎさに連れてこられた『パウダールーム』に私はまたも目がまん丸!!
お手洗いの隣にあるのは知ってたけど、いつも怖そうなコたちで溢れかえっていたから近づけなかった。
「はい、ごめんねえ、交代ねー!」
強気ななぎさが怖そうコたちを蹴散らして私を鏡の前に座らせた。目の前にはキラッキラの最新コスメがずらーり………
「これ全部デパコスだよー!あ、また新しいの入ってる!」
寮の個室の洗面台にもひと通りの化粧品は揃っていたが、パウダールーム(ここ)はより最新のを並べている。アイテム数もすごい。
「果音はまずそのボサボサ眉なんとかしたいね。」
毛抜きと小さなハサミを手にしたなぎさは私の生まれたままの眉毛をあっと言う間に整えた。
「肌は綺麗だからパウダーだけでOKだね、シャドゥはコレがいいかな………」
鼻歌を唄いながらなぎさはどんどん手を進める。
その手際に睨みつけていた怖いコたちの目つきも変わってきた。
「はい完成!」
「……………!!」
鏡に写った『完成品』を見て私は思わず息を呑んだ。怖いコたちからも小さな歓声が上がった。
「……………メイクってヤバいね……」
「ヤバいのはメイクじゃなくて果音だよ。ウチがちょーっとだけ手を加えただけ。
あと髪切ったらもっとカワイくなるよ。ここ、美容院もあるから早速予約しよ。」
「美容院?予約?」
「あとエステとネイルもあるよ、予約はスマホでぜーんぶ出来るよ。」
「スマホ?」
「入学式の後にもらったのあるっしょ?タブレットと一緒に、通話料とか無料のヤツ。
あ、ウチもそろそろ髪染めたいから一緒に予約しておいて〜」