第3章 第一学年一学期
なぎさのお金でおなかいっぱいパンケーキを食べてお店を出たら―――――――
「お姉さんたちカラオケ行かね?」
いかにもチャラそうな男の子たちに呼び止められてしまった。
(キタ―――――めんどくさいヤツ!)
「あっ!大丈夫なんで!」
私はマゴマゴしているなぎさの手を掴んで走り出した。S谷の人混みを掻き分けながら一目散に逃げる。
「はあっはあっ…………マケたかな………」
「………追っては来てないみたいだけど。」
「よかったぁ………あー食べてすぐ走ったから横っ腹痛いわあ〜」
自販機で冷たい水を買って一息つく。
「危なく面倒なことになるとこだったね。」
「……うん、ねえ果音?」
「なあに?なぎさ。」
「やっぱ『男女交際禁止』ってつまんなくね?」
「う〜ん…………」
私だって『彼氏』とか憧れたこともあった。
……………けど。
「今の学校退学になっちゃったら、私行くとこないし…………」
「………そっか……ってウチもそうだったわ!」
「そうなの!?」
「そ、それにさ、一年生は女子ばっかでつまんないけど二年生なったら共学になるじゃん!」
「あはは、そうだったね。」
学校案内に書いてあった。
『男女共学校ですが一年時は男女別クラスとなります。』
隣の教室とかかと思っていたが、男子クラスはどうやら別の場所にあるみたいだ。入学式も別々で一切顔を合わせたことがない。
「ウワサによるとイケメン揃いだって!」
「マジ?!」
「よーし!一年間オンナを磨くぞー!!」
「お―――――!!
………って交際は禁止だってばwww」
「案外校内だったらバレないかもよー?
灯台もと暗しってゆうじゃん。」
「も―――!なぎさッたら!意味わかんないwwww」