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某国立新高等学校

第13章 浅葱医師


「紹介がまだだったね、ここまで君を連れて来たのは賢人くん、こちらはいち子くん。二人ともあの高校を一年で退学になって難を逃れた子たちだ。


そして僕もあの高校を解雇された元教師だ。」


「!」

(……蕗田先生もお勤めだったの?!)


「何かと詰めの甘い政策のおかげで解雇の前に僕もあの恐ろしいカリキュラムは知らされてしまってね。

教師として可愛い教え子たちを何とか救いたいと思っていたところにこの子たちが訪ねてきたんだ。


友達を助ける為に必死で捜して来たんだよ。


そこで第二学年からの校舎の場所、何とか思い出して彼らにしばらく通用口の付近を張ってもらったんだ。」


「都心から離れたA市の山中だろ?前は公務員の保養所だった。あのあたりは最近のブームで山歩きする人が多いからカップルのハイカーに化ければワケなかったよ。」

名前の通り賢そうな賢人くんが言った。

「………カップルって……

とにかくも二人で何日か通って出入りの車をチェックしていたんです!」

いち子ちゃんが顔を赤らめながら言う。


「……そこでうちの病院の車を見つけたのね?」


蕗田先生には毎年年賀状を出して近況を報告していたので、私が金満病院で働いているのが分かったんだ。



「―――――事情があるのは重々承知している。無理にとは言わないが。


―――我々に協力してくれないだろうか!」


蕗田先生は深々と頭を下げられた。

「わたしたちからもっ、お願いしますっ!
ほらっ、賢人からもお願いして!」

「………っ、浅葱先生!この通り、頼むよ!
あいつらを助けたいんだ!!」




「み、皆さん、顔を上げてくださいっ!」

私は必死に叫んでいた。

「――――あの高校のあり方は、医師としていえ人間として決して見過ごしてはいけないと常々悩んでいたんです。


皆さんのお話しを聞いて決心がつきました。」


「―――――浅葱くん……」

顔を上げた蕗田先生の目は嬉しそうだったけど、どこか私を心配してか憂いを見せていた。

(蕗田先生………変わらないな。)


「蕗田先生?心配なさらないでください。
私は先生の教え子ですよ?」
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