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某国立新高等学校

第13章 浅葱医師


そして私達は綿密に話し合いを重ね――――

『緊急搬送作戦』が決定した。


問題は房の中の生徒にどうやってこの作戦を伝えるかだ。

賢人くんが名案を出した。


「あの建物への出入業者を一覧にしておいた。」

「賢人、いつの間に!」


PCにまとめられた表を見る。

「春山給食センター、夏川リネン………」


「この中のどこかに自分らがバイトとして潜り込む。」

「賢人くん、それはだいぶ危険じゃないか?」

「大丈夫、大丈夫。ちょっと覗いたら出入りは皆頭からすっぽり防護服着てるからバレやしないって。」


出入り業者のサイトをしらみ潰しに検索したところ、運良く『夏川リネン』がアルバイトの求人を出しているのを発見した。

生徒たちの寝具類を取り扱う業者だ。

人手不足だったのか賢人くんといち子ちゃんはすぐに採用され、簡単な研修の後、すぐにあの『高校』の房のシーツ交換を命じられた。


「………ショータいた!すっぽんぽんで繋がれてたけど元気そうだったぞ。」

「わたしも果音となぎさの房に入った!声掛けたかったけどまだガマンだよね。

だけど莉里は………どうしても見つけられなかった。」

「こっちもトッドがいねえ……」


まずは見つかった子たちだけを第一弾で救出するということでまとまった。





―――――作戦前日の夜、別荘の庭に一人佇む蕗田先生に私は声を掛けた。

「先生?」

「―――浅葱くんか、いよいよ明日だな。」


「ですね。信頼出来る看護師と警備員にも話はついています。


でも、あの子たちの仲間だけ救出してそれでこの問題は解決したことぬはなりませんよね。」

「――――そうだな。」


「切り札があるんです!」

「切り札?」

「だけどその札を切ると私のキャリアはここで終わってしまうかもしれません………」


「浅葱くん!」

「蕗田先生、いいんです。もう決めたことですから!」
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