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某国立新高等学校

第12章 いち子




「‥‥まあ‥‥‥‥‥」


賢人が自分のことを一通り話終えると奥様は息を呑んだ。





「‥‥‥‥‥‥‥すまない。」

しばらく項垂れていた蕗田先生が呟いた。

「なんでじいちゃんが謝るんだよ?」


「‥‥‥実は僕は聞いてしまっていたんだよ、退職になる前の夜の会議で、あの学校の二学年からの恐ろしいカリキュラムを‥‥‥‥‥」

「話してくれ!じいちゃん!」

賢人は掴みかからんばかりだ。


蕗田先生は顔を上げると何かを決意した様な眼をして話始めた。






(嘘っ‥‥‥‥‥‥‥)

あまりにショッキングな事実にわたしは気分が悪くなって右手を口に当てた。

「大丈夫?」

奥様が隣に座って背中をさすってくれた。



「‥‥‥いち子くんたちだけでも助けてやろうと次の朝、寮に急いだんだが‥‥教師たちに捕まってしまった。」

(あの朝聞こえた蕗田先生の声は空耳じゃなかったんだ!)



「あなた!そんな大事なこと、何故今まで私にも黙っていたの!?」

「‥‥‥美穂にもすまなかった。脅されたんだよ。学校の事を口外したら僕も家族も無事には居られないと‥‥‥‥だけどいち子くんたちがこうして友達を思って僕をここまで訪ねてきてくれた!

‥‥‥‥僕も勇気が出た!手を尽くそう!



‥‥‥‥だが美穂には危害を与えたくない。しばらくK州の親戚の家に身を隠して‥‥‥‥」

「あーな――――たっ!!」

奥様‥‥‥美穂先生は強い声で旦那さんの言葉を遮った。

「私も教育者の端くれよ!ほおっておくことなんて出来ないわ!

何だって力を貸すわよ!!」


美穂先生、柔らかそうな物腰なのにいざという時はすごい頼もしい女性なんだ。


「じいちゃん!覚えてること、全部教えてくれ!」

賢人は怒りに満ちてぎゅっと握りしめていた両手を開くと、ノートパソコンを開いた。
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