第3章 第一学年一学期
ざわざわ………
キャハハハ!ウザーぃ!
成績は関係ないと言ってもいちおう授業はある。
だけど一クラスしかない教室を見回すとだーれも聞いちゃいない。
ってゆうかどこ行ったんだか空席だらけだし、
椅子じゃなくて机に座って化粧してたりなんか食べてたり、この騒がしさの中でも爆睡してるコもいるわ。
教壇の先生はそれを怒ることもなく、一人淡々と授業を続けている。
そしてもはやどーでもいい鐘が鳴ると出て行って、形ばかりの休み時間が終わると次の教科の先生がやって来るという………
『ぐ―――……』
その時私のおなかの虫が鳴いた。
そうだ今朝は寝坊して朝ごはん食べっぱぐれたんだった!
家より寮の方がゆっくり眠れるもんだから………
(お腹の虫……誰にも聞かれてないよね、こんだけうるさければ。)
「ぷっ!」
私の隣の席のコが吹き出した。
(やば!聞かれてた!?恥ずかし―――)
「ちょっとぉ〜ハラ減ってんならカフェ行こーよ、カフェ!」
机の上に長い足を投げ出していたそのコはピョンと立ち上がって私の腕をつかんだ。
「カフェ?」
「まだ行ってないの?ここのカフェ、ヤバいんだから。」
彼女に連れてこられた『カフェ』を見て私は目を丸くした。
「ストバがある高校なんてここだけかもね。」
人気カフェのストバだけじゃなく、有名なお店のケーキやドーナツ、ジェラートもブッフェ形式で食べ放題だ。
「コレが全部寮費の中に入ってるってんだから、数日で太ったわ。」
彼女は白い歯を見せて笑った。
(この人…………美人だなあ。)
カフェテリアは授業中なのに女のコたちでいっぱいだった。
私たちはやっと空席を見つけて向かい合わせに座った。
「ウチは『海野なぎさ』ヨロシク〜」
ドーナツを頬張りながら『なぎさ』というコはキレイな茶色い巻き髪を揺らした。
「私は『宮本果音』……」
「果音!名前もカワイイじゃん。」
「え?」
「入学式ん時からめっちゃカワイイコがいるわ―――ってチェックしてたんだ!」
「はあ………?」
(カワイイコって私のコト?なぎさは目が悪いのかな?)
「つか、せっかくカワイイのにもったいな――――これ食ったらパウダールーム行こ!」