第12章 いち子
消されたSNSの書き込みの主のアイコンは確か………
マニアの間ではそこそこ人気のあるアニメの主人公のペット――――「ポコタブ」だった。
主人公やサブキャラをアイコンにしている人はたくさん見かけるけどアニメの本編にもちょっとしか出てこないペットの「ポコタブ」をアイコンにしているとなると………かなりレアな人物だ!
なぎさたちには(引かれそうなので)ナイショにしているが長年の引きこもり生活からかわたしはそこそこのアニメおたく…………
おたく知識がこんなとこで役に立つとは思わなかった。わたしはさっそくそのアニメのファンが集う掲示板にアクセスした。
『「ポコタブ」が好きな方、語り合いましょう』
自らトピックを立てた。
………何人かとチャットでやりとりした。その中で一人………「最近高校退学になった」という人物がいた。これはビンゴかもしれない!
わたしは慎重に距離を詰めて―――――
相手も何か思いがあった様で、連絡先がゲットできた!
もし違ったら?――――そんな恐怖がなかったと言ったらウソになるが友達を救う為、勇気を出した。
そしてその「彼」とAB原で逢うところまで漕ぎつけた。
「彼」が指定したのは「メイドカフェ」!!
「おかえりなさいませ♡お嬢様!」
当然この様な場所は初めてのわたし!
挙動不審になっていたら先に来ていた「彼」が声を掛けてきた。
「ごめん、ごめん落ち着かないよね、でも密談はここが最適かと思って!」
確かに―――――
「彼」は既に注文していたオムライスをパクつきながら話してくれた。
突然あの高校を退学になって行方知らずになった友達を捜しているって。
―――――「わたしもそうだ」と答える。
「彼」は長めの前髪の奥の目を光らせた。
「何か―――何でもいい、手がかりはない?」