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某国立新高等学校

第12章 いち子






「いち子!いち子!」


(お母さん‥‥)


「‥‥ご飯、置いておくから食べなさいね?」

しばらくの沈黙の後、
重たい足取りのスリッパの音が遠のいていった。

「いち子はまた引きこもってしまったか‥‥」

帰宅したお父さんの声が聞こえた。


「ええ‥‥‥あの高校に入れてもらって初めてお友達も出来たみたいで楽しそうだったのに。退学になってしまって………」



そう、急に退学を言い渡されて家に戻された私。初めての大切な友達にお別れを言うことも許されなかった。

さらにその友達の誰とも連絡がつかなくなってしまったのだ。メールもSNSも何もかも。


『引きこもり』と言われてるけど中学までの私とは違う!

嫌な予感がして仕方がない。
急に連絡がつかなくなったクラスメイトたちに何かヤバいことが起きているんじゃないかと!

手がかりを捜して一日中パソコンにかじりついている。

学校の名前で検索かけても、かつて私たちがそうだった様に今年の新一年生の楽しげなキャンパスライフしか出てこない。



ふと思い出した!

退学を言い渡されて無理矢理職員室から出された時、担任の白田先生と校長先生が話していたこと………長年『いじめ』を受けていると感覚は過敏になってくるものだ。聴覚も然り。


「………無駄に賢しい子は要らないですよね。」

「うむ、これで男女の人数は揃ったかね。」

「はい、もともと女子の方が少し多かったのと、男子の方でも一人退学者がいたので先ほどの子を退学にしてやっと揃いました。」



(わたしの他に女子何人かと男子が一人……退学になっている!その子たちの誰かと連絡がとれたら何か手がかりが?!)

わたしはパソコンのキーボードを叩いた。




………数日後、わたしはSNSのある書き込みを遂に見つけた。

『退学になった高校の仲間と連絡がとれない。―――国立の新しい高校で。』

すぐにわたしはダイレクトメールでその書き込みの主と連絡を取ろうとした。



ところが―――――

エンターキーを押したところでエラーが返ってきた。何度も何度もやったけどダメ。

「ソッコーで消されちゃった!どうして……


――――――あ?」

わたしはある事に気がついた。



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