第11章 緊急事態
ガラガラガラ…………
翌朝、病室に大きな『検査機械』が運ばれてきた。
「おはよう、宮本さん。気分はどう?」
数人の看護師さんたちを伴ってやって来た浅葱先生は笑顔を向けた。
「ひ、ひさしぶりに良く眠れてとてもいいです!」
「それは良かった!…………宮本さん?」
浅葱先生は顔を近づけてきた。さっきまで柔らかだった表情は消えていた。
「……これから貴女を逃します。」
「えっ…!」
思わず大きな声が出そうになった口がそっと指で塞がれた。
「信じて。悪い様にはしないから絶対。」
よく知らないお医者さんだけど、真摯な眼差しが信じられる様な気がするし、あの牢獄から逃げられるなら………
「さっ早くこれを着て!」
看護師さんの一人が彼女と同じ看護師の制服を差し出した。
「看護師に化けて機械と一緒にこの部屋を出たら1階の救急口に停まっている黒いバンに乗るのよ。」