第10章 スワップ
(…………!)
「だからどうやったって無理なんだよ、オレらに繁殖行為させようってのは。
――――オレの元のお相手な、出席番号5番の女子、運がいいのか悪いのかそっちはレズビアンだったし!
しかも好きなヤツがいるとかで………」
「………ええ――――――っ!!
な、なぎさが?!」
「あ、知ってるコだった?………言っちゃってヤバかったかな…………」
(じゃ、じゃあ……なぎさとショータがもしかして?ってことは心配ないのか。)
何故だか私はホッとしていた。
「ショータはさ、ラブラブの彼女がいるんだよな?バカマジメだから果音ちゃんにはきっと指一本触れなかったんだろな?
果音ちゃん、こんなにカワイイのにもったいないこって。」
「…………指くらいは触った……」
「おやおや?」
トッドは面白そうに笑っている。
「ち、違うの!そういうことは決してなかったよ!」
「クスクス………わかってるって。」
(トッド……ちょっと軽いけどいい人みたい!)
私は寝台に寝転んで掛布を頭から被った。
「あれー?もう寝ちゃうの?もっと話そうよ。」
「………こっちで話そ。」
「話聞いてた?せっかくのお誘いだけどオレは………」
「いいから来てっ!」
私は掛布を被ったままくぐもった声で呼んだ。
「………!?…はいはいと。」
トッドは察してくれたのか掛布の中に滑りこんできた。
形の良い耳にぴったり口を付ける。
「うわっ!くすぐったいよ!」
(ガマンして――――)
私は注意深くショータの脱出計画を話した。
……計画と言っても具体的には何も分からないんだけど。
(賢人か………)
今度は私の耳にトッドが口を付けて言った。
(よく知ってる!あいつならきっと何とかしてくれる!)