第6章 第二学年一学期
シオリの熱心さに負けて、俺は水曜のバイトのシフトは遅番にして夕方はシオリの自転車の練習に付き合った。
何度も派手に転んだがシオリはめきめき上達していった。
「一生懸命なのはいいけど怪我だけはするなよ!」
「大丈夫、大丈夫。ショータさんもお父様みたいに心配性なんだからあ〜
ねえねえ、ちゃんと乗れたらシオリ自転車でいろんなとこ行ってみたいな。北から南まで国中!」
「ずいぶんと大きな夢だな。」
「あら、もう少しで夢が現実になりそうよ?
ショータさんも一緒に行こうよ!」
「えっ!? あ、ああ……いいね。」
「そうだ!もっとカッコいい自転車、お揃いで乗ろうよ!約束ね!」
俺は嬉しかった。
淀みのない瞳で夢を語るシオリが愛しい――――
ある水曜の夕暮れ、シオリはついに俺の補助なくして一人でチャリを乗りこなした!
『見て――――スゴい、シオリ!一人で乗れてるぅ―――――――』
「あぁ、見てるよ!おい、早いって!待て!」
「待たな――――い!」
俺はやっとの思いでシオリに追いついた。
キキッ………
教えたとおり上手にブレーキをかけてシオリは止まった。
「やったな!シオリ!」
俺は思わずシオリの華奢な体を抱きしめていた…………
――――その様子を偶然車で通りかかったシオリの学校の先生が見ていたんだ。