第6章 第二学年一学期
女子部屋に戻されると大量の食餌を食べてくれる人がいないから、私はとうとうお腹を壊してしまった………
何日も食べ物を受け付けなくなってしまった。
「せっかくいい感じに太ってきたのに!そんなひ弱じゃこれからが思いやられるわ!バカなんだから繁殖するくらいしか出来ないくせに!」
白田先生には毎日暴言を浴びせられた。
(………胃が痛い。ストレスも食べられない原因かも…………)
最悪の体調だったが2回目の繁殖期ということで有無を言わさず、男子部屋に引っ張って来られた。歩くのもやっとなのに…………
二週間ぶりにショータに会う。
「どうした?果音、ずいぶんと痩せたな。」
私を見る目は相変わらず優しい。
「………うん、お腹壊しちゃって。」
「無理すんな!まず座れ、横になった方がいいか?」
「ありがとう、ここでいいよ。」
二人で並んで寝台に寄りかかって座る。
端正な顔のショータに優しい言葉をかけられてこれだけで元気が出て来た様な気がした。
「無茶苦茶だよな、ここのやり方………」
「………うん、一年の時とは全然違う。待遇が良すぎてなんか怪しいなとは思ってた。」
「女子もすごかったのか………」
「そう、カフェにはストバもあってスィーツ食べ放題だし、美容院やエステもタダであったんだよ。」
「こっちもストバはあったあった!ヤローだからがっつり系のラーメンとかも喰い放題でさ!」
「ええ!そうだったの?女子は最新コスメ使い放題でイベントも豪華だった。遠足はディルニーだったし。」
「男子はいつでもゲームやり放題!目がおかしくなるほどやったよ。遠足はアニバーサリスタジオ。」
「わあ、いいなあ!」
「遊びたい放題、やりたい放題だったよな……」
「…………それなのにね。」
「こういう話あったよな、小さい頃読んだ本に………」
「あった、あった!何だっけか?」
私たちは少し考えて………
『ピノキオだ!!』
二人一緒に叫んだ。
「あはは、一緒に言っちゃったね。」
「気が合うな。」
(―――気が合う?ってヤダッ……)
私は急に恥ずかしくなった。
「えっと、あの話は『遊びの国』に連れてこられた子供たちは………」
ショータの声に私は我に返った。
「ロバにされちゃう!」
「そうだロバだ。くそっ……俺らロバより酷いな。」