第6章 第二学年一学期
「ショ、ショータ、やっぱりこっちで寝て!
体に悪いからっ!
これ、このベッド、案外広いからこうして端に寄れば大丈夫だからっ………」
―――思い切って言ったのに『ショータ』はくすくす笑っている!
「……OK!ありがとう、じゃ今夜からそっちで寝ることにする。」
そう言うとショータは私の反対側の端に背中を向けて寝転んだ。
ドキッ……ドキッ………
何なの?!この動悸はっ!
「……ん〜〜」
胸を押えていた私の腕に寝返りを打ったショータの腕がぶつかった。
「キャッ!!」
大きな声を上げてしまった。
「ご、ごめんっ!」
すぐにショータは飛び起きた。
「俺、寝相悪いんだ。邪魔したら容赦なく蹴飛ばしていいから!」
(こんな優しい人、蹴飛ばすなんて出来ないよ。)
私はなるべくショータに触れない様に壁にぴったりくっついて背を向けた。
(自分から言ったものの男の子と同じベッドでなんて、眠れるワケないわ!)
すう……すう…………
気持ち良さそうなショータの寝息が聞こえてきた。
(やっぱり床の上じゃ良く眠れてなかったんだな………)
そーっと首だけ振り返ってみる。
背を向けてたはずのショータはいつの間にかすっかりこちらを向いていた!
(寝相わるっ!)
閉じた瞼から長い睫毛がのびていた。
(よく見たら超イケメンじゃん!背も高いし!
私のせいで黒くなっちゃったけど肩甲骨のあたり……背中とかも筋肉質でかっこいいし………)
それから7日間、夜は密かにショータの美しい寝顔を眺めるのが私の楽しみになっていた。
繁殖期間は二週間。
ぴったり二週間経った日の朝、私は男子部屋を出された。
首輪に再び付けられた鎖を白田先生に引かれて、鉄格子の小窓の扉の部屋が並ぶ廊下を歩く。
「貴女は案外子供っぽいからこっちの係員にあんまり煽らない様にと言っといたんだけど、まあ一緒に寝れる様になっただけでも進歩かしら?
ほら、………聞こえる?」
通り過ぎる部屋からはまだ午前中だというのに、寝台の軋む音や女の子の甲高い声が響いていた。
「優秀な生徒たちはこうして昼夜問わず励んでいるのに――――もう何人か妊娠してるんじゃないかしら?
貴女も次の繁殖期にはがんばって早く国に貢献しなさいよっ!」