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某国立新高等学校

第6章 第二学年一学期


よく見たらトレイは青とピンクの二つが用意されていた。

(一応男女別にあったんだ………)

「体壊すから好きにしていいから。なるべく見ない様にするからさ。俺もするし。」

「で、でもっ………匂いとか……」

「そうは言ってもどうしようもないだろ?」


(………確かに。)




気まずい時間が過ぎていった。


ガチャ………ギィ……

重たい扉が開いた。

係員が二人分の食餌を持って来た。


(食欲なんて全くないのに………なのに量がまた増えてる!!)

「残さず食えよ!雌の方はもっと肥えないと孕めないぞ!」

また下品な笑いを残して去っていく係員。


床に置かれた大量の食餌を涙目で突いていたら、大きな影が私の前に立ちはだかった。

「………!」

「シッ!この位置ならカメラから見えないな。」

(カメラ?………カメラなんてついてたの?)


M15は小声で言った。
「妙なことしない様に24時間監視されてるんだ……女子部屋にもあるはずだぞ。」

彼は私に覆いかぶさる様にして私の食餌を食べ始めた。
「多いんだろ?逆にこっちは足りないんだ。」

(助かった……………)



空の食器を回収に来た係員はニヤニヤしながら言う。

「ブタども、エサ食ったらあとはヤること分かってるだろ?たっぷり愉しみな!」



ガチャリ…………!!

施錠の音がいやに大きく響いた。




………ギッ……ギッ……

寝台の軋む音?……どこかの部屋で……あの「行為」をしていると思われる音が聞こえてきた。


(……やだっ!!)

私は部屋の隅で縮こまったまま、目を閉じ両手で耳を塞いだ。



「ちょっと!」

「………ひいぃっ!!」

急に声を掛けられたので私は思わず悲鳴を上げてしまった。


「くすっ………」

「え?」

彼が笑ったので私は驚いた。


「そんなに怯えんなよ!」

「……………あ、はあ………」

「心配すんな!俺はなんもしない。あんたに指一本触る気ないから。

俺はここ(床)で寝る。あんたは寝台を使いな。」


「で、でも…………」

「不満?」

「い、いえっ!」

「だったら早く寝た寝た!今日はいろいろあって疲れてるだろ!」


「……あ、はい。」

私は一人で寝るには広すぎる寝台に横になり薄い掛布にくるまった。



(………ぶっきらぼうだけど優しい人……かも?)
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