第6章 第二学年一学期
「――――すべてが悪い夢であって欲しい。」
という私の願いは裸のカラダが床の冷たさを感じて目覚めた時に虚しくも絶たれた。
首と右の足首には枷が嵌められてきた。枷にはコンクリートの壁から伸びる重たい鉄の鎖が付いていた。
怠いカラダを持ち上げて回りを見回すと私は四方をコンクリートの壁で囲まれた小部屋に入れられていた。
一方にドアがあったが堅く施錠されていた。
ドアの上部には鉄格子の付いた小窓があり、ぼんやりと明るさが漏れていた。
(ここはどこ?まるで牢屋じゃない………しかも丸裸にされている!
そうだ!スマホ!)
ジャラ…………
なぎさたちと連絡を取ろうと、重たい鎖を引きずってあたりを探すが……あるわけなかった。
『おはようございます!新二年生の皆さん!』
突然白田先生の声が響いた。
(……びっくりした!あ、天井にスピーカーがあるんだ。)
『これより、新学期のオリエンテーションを始めます。少しで終わりますから騒がず良く聴いてくださいね。』
(オリエン…………)
白田先生の声は続く。
『皆さんが今居るところが新しい教室と寮も兼ねています。早く慣れる様に。
まずは良いお知らせからです。
一年時には禁止していました男女交際は二年時からは解禁いたします!』
(………わーい♪ってこの状態でどうしろと?)
『ただし、こちらで決めたお相手とだけです。
皆さんの首についているモノで体温などをチェックしていますのでそれぞれ受胎しやすい時期になりましたら、同じ出席番号の男子のお部屋に移します。そこで好きなだけ交わってくださいね。』
(はああ〜!?)
『次に悪いお知らせです。普通高校は三年間ですが、こちらはほぼ十年間を予定しています。
これから若い十年の間、お相手との性交だけに励み出来るだけたくさんの子供を産んでくださいね!』
(えええええ〜!?)
『我が国が少子化という深刻な問題を抱えているということはあまり頭の良くない皆さんでも分かりますね?皆さんは国を存続を担う重要な役目を与えられたのです!
安心してください。産まれた子供たちは国で責任を持って育てます。また十年経ちましたら皆さんには上級国家公務員の身分が自動的に与えられ、亡くなるまで衣食住は国が面倒をみます。』