第6章 第二学年一学期
体育館には不気味な行進曲が流れ、男子生徒の手拍子で迎え入れられた。
一列に並んだ私たちが体育館に入った途端、当然大騒ぎになった。
「すげえ!」
「丸見えじゃん、エッロい!」
………恥ずかしさを超えて恐怖だった。
椅子に座らせられた男子の前に女子はお尻を向けて立たされた。
ステージの上に校長先生が立った。
「……それでは『国立新高等学校』第二学年の始業式を始めます。礼!」
ピアノが鳴る。
女子は誰も礼をする者はいない。
(………み、見えちゃうよ……)
「こらあ!女子!キチンと礼をしろ!
しない者はぶつぞ!」
体育の先生がマイクで怒鳴る。
もう一度ピアノが鳴った。
私はクビだけチョコンと下げた。
ビシッ………!
裸の背中が打たれた。
「もっと深くだ!」
先生方は皆モノサシを持っていて私の他にも何人か叩かれた。
ピアノがもう一度鳴る。
怖かったので仕方なく腰を折る私たち。
「見えたぞ!」
「もう一回!もう一回!」
後ろがどよめく。
隣のミニスカートのなぎさをちらりと見ると、唇を噛みしめてジッと耐えていた。
何事もなかった様に淡々と式は進んだ。
通り一遍の校長先生、教頭先生のあいさつに続いて来賓のあいさつ…………
私たちはいちいち深々と礼をさせられた。
その度起きる下品な野次と笑い声………
屈辱的な『始業式』がやっと終わった。
「では新二年生の皆さんはこれからバスで新校舎へと移ります。」
(新校舎?!)
「こちらの校舎は今年の新一年生女子が使用します。皆さんのSNSでの『イイナ」効果で新入生は去年の何と5倍となりました。ありがとうございました!」
ここまで話してニタリと笑う教頭先生。
先生方の拍手に送られ、私たちは体育館に横付けされたバスに押し込まれた。
バスは悪いことした人が乗る様な窓のない車両で、変な匂いがした。
「果音!これ、まじヤバいよ!!」
「えっ…………」
なぎさの声がだんだん遠くなっていった…………