第5章 第一学年二学期
会議が終わった。
会議と言っても幹部が粛々と連絡事項を述べただけで招集された教師たちには発言権はない。
「!誰だ!?蕗田教師に会議リンクを送ったのは?!」
幹部の一人が叫んだ。
「すみません!リストから削除漏れがありまして………」
「このプロジェクトには国家の存亡が賭かっているということを理解しているのか!!」
声を荒らげる幹部――――実は皆、国の官僚たちだ。
「も、申し訳ありませんっ…………」
「まあまあ、」
校長(彼も元官僚であるが)が間に入った。
「蕗田教師はちょうど70の誕生日の今日、定年退職だ。問題はない。
ここで見聞きしたことを口外すれぱどうなるかは伝えてあるだろう?」
「………ん?あれ?今じいちゃん、蕗田先生の声しなかった?」
いつもより早い朝食のパンを頬張りながらいち子が言った。
「え〜?なんも聞こえないよ?いち子寝不足なんじゃね?」
「そうかも?!てゆうかみんなあんまり寝てないよね(笑)」
「だけどお菓子、美味しく出来て良かったね。」
「可愛くラッピングもしたし!さあ早く職員室で待ち伏せしてじいちゃんを驚かせよっ!」