第5章 第一学年二学期
月日が流れ――――クリスマスが終わって年が明け、(と言っても冬休みはないけど。)
2月28日の夕方、私たち四人は寮のキッチンを借りて大奮闘していた。
「ねえ、砂糖はこのくらいかなあ?」
「じいちゃん、甘いのすきそうたからも少し入れても良くね?」
「だけど蕗田先生の誕生日が明日だって何で分かったの?」
「パソコンのパスワードも携帯のロック解除No.も何でもかんでも『0301』なんだもん!」
「よく見てるねーいち子!」
「そうだね、年寄りはそうゆうの誕生日にしてる人多いよね。セキュリティ甘すぎ!」
「あーマドレーヌもそれじゃ甘すぎだよお!砂糖入れ過ぎ!」
「まあ、いいんじゃね?さあ、明日までプレゼントのお菓子、どんどん焼くよ!」
「国語の奥さんの分もだからねー!!」
――――蕗田教師は時計を見た。
(17時過ぎたか………)
湯呑み茶碗を軽くすすいで流しの洗いカゴに伏せた。
(………今日はお嬢さん方は来ない様だな。)
ノートパソコンの電源を落とそうとマウスを動かした時に一通のメールが着信した。
(おや?『緊急連絡会議「第二学年カリキュラム」』か。22時からとずいぶんと遅い時間からだな。まあ、仕方ない。この学校の教師は塾講師とか他の職業も兼ねている者が殆どだからな。僕も一度定年退職した再雇用教師だしな。
いつもの様にリモート会議だから家から出るか
…………どうもリモートというのにはいまだ慣れないが。)
老教師はパソコンをカバンに仕舞い家路についた。