第5章 第一学年二学期
「………う〜ん、笑わないで聞いてくれる?」
私にはずっと興味があった職業があったんだけどとてもとてもムリだと思って誰にも言ったことはなかった。
「いいから言ってみなよ!」
「……………ん……モ、モデル!」
(あ〜!言っちゃった!)
「うそうそ!冗談!!私がなれるわけないじゃん!聞かなかったことにして………」
「……本当に冗談なの?」
なぎさが真面目な顔をして聞く。
「そーあまり面白くなかった?」
「いや、ぴったりだと思ったのにさ。」
いち子と莉里も身を乗り出して言う。
「わたしもそう思った!顔ちっちゃいしさ。」
「美人じゃないけど、何ていうかどんな服も着こなせそうだよね!」
私は仲間の意外な反応に戸惑いながら言った。
「――――私がやりたいのは『ショーモデル』!世界中で活躍したい!」
「決めた!!」
なぎさが立ち上がった。
「ウチはあんた専属のメイクアップアーティストになる!
一流の美容学校に行ってやるさ!
果音はぜってえモデルになれ!
二人で行こう!ロンドン、パリ、NY!」
「なぎさのメイクテクは天才的だからね、ぴったりじゃない?」
「残るはいち子だね、いち子は何になりたいの?」
「オヨメさんはナシだよ―――」
いち子は下を向いてちょっと考えてから言った。
「………わたしは、先生になりたい!」
「大きく出たね!でもあんた中学どころか小学校もまともに行ってなかったんじゃ?」
「小学校は行ってたもん!
………保健室にだけど。保健室の先生に勉強を教えてもらってた。楽しかった!
だから将来はわたしもいじめられてる子を助けてあげられる保健室の先生になりたい!」
「すごいね、いち子…………」
「なれるかどうかわかんないけど……」
「とにかくもこの高校出てアッパラパーじゃ話にならないし!果音とウチは英語も話せないとだし!?
まず明日から授業はちゃんと聞くことにしない?」
翌日から私たちは心を入れ替えて?とりあえず机にちゃんと座って授業を受けることにした。
「ギャハハハ!バッカみたーい!」
予想通りクラスの他の子たちが側で大騒ぎしてチャチャをいれてきたが、なぎさがガンを飛ばして一掃した。