• テキストサイズ

某国立新高等学校

第5章 第一学年二学期


バン!!!


その時、応接の扉が蹴破られた!

「……………なぎさ!」

後ろにはいち子と莉里もいた。


「もうガマンならねえ!ウチらの友達に何てことしてくれてんだよ!!」

美人のなぎさなのに……見せたことのない凄い顔をして怒鳴りつけた。


「………な、何なの?この子?!」

突然の事に驚く親。

「う、海野さん、勝手に入って来てはいけません………」

白田先生が諌めてもなぎさの勢いは止まらない。

「うるせえっ!!

さっきからベラベラベラベラと勝手なことばかり!このクソババァ!クソジジィ!!」

「そうだ!そうだ!果音を何だと思ってんだ!」

いち子たちも加勢する。

「な、なんて子たちなの?!

まあまあ………見た目も派手だし。こんな子たちと付き合ってるから果音もおかしくなって!

家に帰ったらすぐ髪を黒くしなさい!化粧もダメよ!」


―――私は立ち上がった。両の拳をギュッと握りしめた。

「私は帰らないし髪も黒くしない!おかしいのはお母さんたちよ!

私に出ていけって言ったよね、家族じゃないとも!何よ、今更!!」


「あの時とは事情が違うの。分からない?
………その様子じゃあロクにお勉強もしてないんでしょ?だからいろいろ分からないのよ、

こんなとこに居て将来どうするの?!」


なぎさが割って入った。

「ぜーんぶ分かってるよ!!

てめえらは果音を自分らの都合よく使い回してえだけだろ!?

姉貴が病気だって?!ふざけんな!勝手に落ちこぼれてるだげだろうが!

果音はウチらの大事な、大事な友達なんだからっ!!勝手にはさせないからね!帰れ!!」

「帰れっ!帰れっ!帰れっ!…………」


なぎさたちの「帰れコール」に親は怯んだ。

それに背中を押されて私は言った。

「私は『居ないもの』とされたんでしょう?
どんな事情になったかなんてもう知ったこっちゃない!

――――帰ってください!!


もう二度と顔を合わせる事はないです!」


こんなにきっぱりと親に自分の考えを言えたのは
初めてだった。

/ 110ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp