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某国立新高等学校

第5章 第一学年二学期






「なぎさ、なぎさってば!待って!」


「いち子も莉里も早くついて来な!果音の一大事だよ!」


「普通に娘の顔を見に来ただけじゃないの?」

「何、アタマの中お花畑みたいなこと言ってんの!いち子、あんたも聞いたでしょ?果音が親と姉貴からどんな扱い受けてたか………

こんな突然やってくるなんてロクなことじゃないに決まってる!」



両親の待つ応接室まで白田先生に連れて来られた私を追いかけて来たなぎさたち。

キッチリ閉められたドアに張り付いて聞き耳を立てていた。






「…………だからすぐ戻ってきて頂戴!」

「お金は出してやるからちゃんとした高校出て働いて蒼と父さん、母さんを助けなさい!」



「そういう事でしたら当校は退学を認めます。
宮本さん、すぐ寮に戻って荷物をまとめなさい。」



(あんのクソババァ、クソジジィ!白田も!何勝手言ってやかんだあぁぁ〜)
(なぎさっ、抑えて抑えて…………)





「…………い、いやです!友達も出来たし、退学なんていやです!」


(よく言った!果音!)
(シーッ、シーッ!なぎさ。)


「何言ってるの?お姉ちゃんが可哀想だと思わないの?医学部を三ヶ月で退学してしまってずっとお部屋から出られないでいるのよ?」

「そうだ、あの子が成績最下位なんてありえないんだ!大学の教え方が悪くて蒼は心を病んでしまった。お前と違って繊細なんだ。」

「元の部屋使っていいからお姉ちゃんの話相手になって頂戴!私たちがもう何を言ってもダメなの。」

「お母さんも心労で具合を悪くしてパートをやめてしまったからアルバイトもしなさい。高校生なら何でも出来るだろ?

家族は助け合わないと!」



(くぅぅぅぅ〜聞けば聞くほどムカつくぅぅぅ〜)
(………なぎさっ、どうどう…)


「やだっ!もう帰ってくるな!って言ったのお姉ちゃんとお母さんたちじゃない!」


バシッ!

「果音!こんな冷たい子に育てた覚えは無いのに!」

やおらお母さんが立ち上がって私の頬を打った。




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