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某国立新高等学校

第17章 フリージア


食堂を出るとショータは自転車を降りようとしていた。

「おかえり、果音。」

夕陽を背にして逆光の中、白い歯が眩しい。


「た、ただいまショータ。」

「遅れてごめんな。」

「ううん、大学とバイトとで忙しそうだよね。」


ショータは「弁護士」を目指して猛勉強してこの春に見事法科大学に合格した。最近では小さな弁護士事務所で勉強も兼ねてアルバイトを始めたそうだ。

「まあな。果音こそ、休み取れて良かったな。」

「うん、でも週明けすぐに戻らないといけないの。南仏で撮影が入っちゃって。」

「おースゲーな。世界飛び回ってんだな。」

「へへ、大変だけど来る仕事は何でもトライしようと思って。」

「さすが果音!俺も負けねえぞ。

しかし果音、たまにリモートで話してるけどやっぱり実物の方が………」

と言って案の定ショータは自転車をお店の前に停めようとした。

「あっ、ショータ、莉里から言付かったんだけど、商店街の決まりが変わって自転車はお店の脇に停めてって。」

「そっか!そうだよな。この道狭いからな。」


ショータは変わらない俊敏な動きで自転車を隣のお店とのわずかな隙間に停めてきた。

(ん?手に何か持ってる。)


「………果音、これ――」

ショータは筒状に包み紙が巻かれたものを私に差し出した。

「なあに?これ?」

「果音に……買ってきた。」

「あ、ありがとう、開けるね。」

私はくるくる巻かれた包み紙を外した。



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