第17章 フリージア
包み紙の中から出て来たのは―――――
とびきり明るいイエローの花束!
「わあ!フリージア!!可愛い………」
「あはは、やっぱり花買うのって照れくさいよな、紙で包んでもらっちゃったよ。」
「ありがとう!ショータ、フリージア大好き。」
「良かった!――――フリージアっていうんだその花。」
「ふふ、知らないで買ったの?」
「うん。前にさ、果音と花屋行った時―――」
(あ、シオリさんの誕生日の時か………)
「店出る時にその花見つけて、果音みたいな花だなあと思って…………」
「ええ!?」
「明るくて可愛くて小さいけど一生懸命に咲いてるからさ。」
(嬉しい!!)
素直に嬉しくて少し照れくさくて私は黄色い花束に鼻先を埋めた。フリージアの優しい香り………
「………バラの方が良かったかな?」
「ううん、これがいい!ショータが似てるって思ってくれた花。」
「うん、ホント似てる、似合うよ。綺麗だ。」
「………………あ、ありがとう、大好き……ショータ。」
「俺も大好きだ、果音。」
――――――その時、お店の中からなぎさの声がした。
「お二人さ―――ん!!そろそろよろしいですかあ〜〜!」
私たちは顔を見合わせて笑った。
「入ろうか。」
「うんっ!」
私の花束を持っていない方の手はしっかりとショータの大きな手の平に包まれていた。
おわり